京都新聞コラムVol.20『竹はプラスチックの代わりになる?』2025.2.11 真下彰宏

 

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

今回は、エコ素材である竹ははたして・・・というお話です。

 

【竹はプラスチックの代わりになる?】

日本の暮らしに深く根ざした素材、それが竹です。

私たちは昔から竹を食べ、道具として使い、建築にも使用してきました。プラスチック製品が主流となるにつれて竹製品は姿を消してきましたが、近年では新たな活用法が注目されています。例えば、竹を使った衣類や繊維製品、消臭グッズ、健康グッズ、竹製の器やカトラリー(フォークやスプーンやナイフ)、竹ストロー、歯ブラシなど日常生活で使える製品が増えています。環境に優しい素材として人気が高まり、竹はプラスチックの代わりの素材として期待されています。

しかし、竹は本当に未来のエコ素材としてプラスチックの代わりになり得るのでしょうか?

木材が成長するまでには3050年かかるのに対して、竹は1日に1メートル以上伸びることもあり、わずか3ヶ月で最大の高さに達します。このように、竹は木材よりも短期間で材料として使えるようになる点が大きな特徴です。

一方で、耐久性には課題があります。竹は木材と同様に湿気に弱く、放置するとカビや腐敗の原因となります。そのため、竹製品を長く使うためには、防カビ処理や加工技術の向上が求められます。

プラスチックは耐久性が高く軽量で便利ですが、分解されるまでに何百年もかかり、小さなプラスチック片が環境汚染の原因となります。その点、竹は生分解性があり、使用後は微生物によって分解されて土に還ります。例えば、竹製のストローやカトラリーは、使い終わった後に土に埋めると自然に分解され、プラスチックのように長期間残ることがありません。そのため、環境負荷を大幅に軽減できるのです。

このように、竹は木材よりもプラスチックの代わりの素材として有望ですが、耐久性や加工コスト、運搬などまだまだ課題もあり、現時点では最適な素材とは言い切れません。今後、竹の特性を活かしながら、世界最先端の日本の技術とどのように融合していくかが重要なポイントだと考えます。

また、私たち一人ひとりが環境を意識し、価格に左右されず竹をはじめとするエコ素材を選び、生活に取り入れることが、未来の地球を守るために一番必要なことなのではないでしょうか。

(京都新聞洛西版2025.2.11)

【真下彰宏プロフィール】

長岡銘竹株式会社代表取締役
竹工芸 竹垣職人
京もの認定工芸士

1977年横浜生まれ。5歳の頃に京都府長岡京市へ移り住み、「竹」と身近に育つ。
京都伝統工芸専門校で竹工芸を学び、卒業後1998年に長岡銘竹株式会社に入社。入社以来、師である三島一郎(京の名工)に師事し、竹垣製作に従事する。主な仕事に、桂離宮、京都迎賓館、平安神宮、松花堂庭園などがある。
2015年3月、京都府知事より、「京もの認定工芸士」に認定される。
2016年から、アメリカやイタリアで竹垣の製作実演やワークショップをし、海外での竹工芸の普及を目指している。
2020年コロナ禍では、新しいデザインの竹垣の制作、竹林整備活動や竹あかり、SDGsで繋がるアドベンチャーワールドとの商品開発、メディア出演など、竹の魅力を国内に伝える活動に力を注いでいる。
2021年に代表取締役に就任する。

Akihiro Mashimo

Bamboo fence craftsman

Akihiro Mashimo was born in 1977 in Yokohama. He moved to Nagaokakyo City in Kyoto at the age of five, where he grew up around bamboo. He learned bamboo craftwork at the Traditional Arts School of Kyoto and then entered Nagaokameichiku Co., Ltd. in 1998 after his graduation. Afterwards, he studied under his teacher Ichiro Mishima (a recipient of the Kyoto Prefecture Traditional Industry Excellent Craftsman Award) and made bamboo fences. His major works are found at the Katsura Imperial Villa, Kyoto State Guest House, and Heian Jingu Shrine. He was recognized as a Certied Kyoto Traditional Products Craftsman by the governor of Kyoto Prefecture in March 2015.

経歴

2013年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2014年 竹工芸公募展in京都2014   京都市産業技術研究所長賞

2015年 竹工芸公募展in京都2015 佳賞

2015年 京都府知事より「京もの認定工芸士」に認定される。

2016年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2016年 米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園のJapanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017    米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2018年 米国ミズーリ州セントルイスのミズーリ植物園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。(3日間で2万人が来場する米国でも有数のフェス)

2018年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる

2019年 米国フロリダ州モリカミ庭園で、竹垣を製作する。また、講演やワークショップ、竹垣製作実演をする。

2019年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2019年 竹とSDGsの関係を世の中に発信するために「竹のQRコード」の販売を開始する。

2019年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

20204月 NHK WORLD-JAPANで国外向けに紹介される。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2029134/

(NHK WORLD-JAPAN Core Kyoto  On Demand)

2020年 全国一斉点灯の竹あかり「みんなの想火」の京都の立ち上げメンバーとして放置竹林の竹を使った竹あかりの製作を始める。

2020年 学生と地元の企業とコラボし、モダンなデザインの竹垣を手がける。

2020年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2020年 アドベンチャーワールドのSDGsの活動に共感し、パンダの食べ残しの竹を使った製品の販売を開始する。

20211月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

https://www.nhk.or.jp/kyoto-blog/kyocolle/442826.html

2021年3月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

2021年4月 京都新聞でコラムの連載がスタートされる。

2021年7月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

2021年9月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

      UNIQLOとのコラボ企画で工芸を学ぶ学生と商品を制作する。

2021年11月 長岡銘竹株式会社の代表取締役に就任

2021年11月 京都府亀岡市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2021年12月 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2022年5月 MBS毎日放送「京都知新」で特集で活動を紹介される。

2022年8月 京都駅ビルで竹あかりイベントを開催する。

2022年12月 竹工芸の展示品評会において4つの賞を受賞!

2023年1月 朝日放送「ほな行こCar!」にて活動を紹介される。

2023年3月 MBS毎日放送「Catch!」にて活動を紹介される。

2023年12月 竹工芸の展示品評会において2年連続で4賞を受賞!

2024年6月 米国フロリダ州モリカミ庭園で、竹あかりのエキシビジョンを開催する。

2025年3月 竹工芸の展示品評会において2賞を受賞!