京都新聞コラムVol.18『竹の切り旬』2024.9.3 真下彰宏

 

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

今回は、竹につく虫についてのお話です。

虫は苦手です・・・。

 

 

『竹の切り旬』

今年も夏の暑さが厳しいですね。とはいえ9月に入りましたから朝晩は少し涼しくなり、季節は一歩ずつ前進しています。

竹屋の9月といえば、いよいよ繁忙期のシーズンに入ってきます。材料の調達と加工が年末まで続きます。

竹はお盆を過ぎた頃から切り旬に入ります。

切り旬とは、品質の良い竹を切れる期間を指します。

ちなみに木材にも切り旬があるそうです。9月後半から3月後半がその期間に当たるそうですが、竹の切り旬は

8月後半から1月と言われることが多いです。

毎年この期間に切った竹を大事に保管してご注文に応じて少しずつ消費しています。

では、切り旬に切った竹と切り旬以外に切った竹では、何が違うのでしょうか?

大きく異なる点は、伐採後の竹を虫が好むかどうかです。

虫が好む竹は、竹の内部をアリの巣のようにどんどん進みながら食べられてしまいます。

見た目も竹の硬さもそれぞれ比べても違いはありませんが、きっと虫たちにとってはとってもおいしい竹なんでしょうね!

どうして切り旬以外に切った竹を虫が食べるのかは定かではありませんが、一つはタンパク質などの栄養分が豊富に含まれているからと聞いたことがあります。春から夏の間、竹は竹の子を育てるために養分や水分を蓄えていますから納得の理論ですね。

逆に切り旬の竹は、冬を越すための準備に入る期間でもあり、吸い上げていた水分を根に戻すので竹の中の養分が少なくなっていると考えられています。

せっかく作った商品なのに、虫の餌になっていたら・・・これほど悲しいことはありません。

みなさんの中にも竹を伐採して何かを作られている方もおられるでしょう。

伐採時期の参考にしてみてください。

竹を食べる虫はチビタケナガシンクイムシや、タケトラカミキリなどが代表的ですが、バンブーワームという竹を食べる幼虫は、スナックにもなっているようです。なんでも…あま~い香りがして栄養価も高く美味しいようです。竹を食べて育った虫なので、ほのかに竹のかおりもするらしい…です。竹好きというところは私と同じなのですが、私はこの手の昆虫食は全くの苦手なのです。気になる方はぜひチャレンジしていただいてご感想を教えてください。

(京都新聞洛西版2024.9.3)

【真下彰宏プロフィール】

長岡銘竹株式会社代表取締役
竹工芸 竹垣職人
京もの認定工芸士

1977年横浜生まれ。5歳の頃に京都府長岡京市へ移り住み、「竹」と身近に育つ。
京都伝統工芸専門校で竹工芸を学び、卒業後1998年に長岡銘竹株式会社に入社。入社以来、師である三島一郎(京の名工)に師事し、竹垣製作に従事する。主な仕事に、桂離宮、京都迎賓館、平安神宮、松花堂庭園などがある。
2015年3月、京都府知事より、「京もの認定工芸士」に認定される。
2016年から、アメリカやイタリアで竹垣の製作実演やワークショップをし、海外での竹工芸の普及を目指している。
2020年コロナ禍では、新しいデザインの竹垣の制作、竹林整備活動や竹あかり、SDGsで繋がるアドベンチャーワールドとの商品開発、メディア出演など、竹の魅力を国内に伝える活動に力を注いでいる。
2021年に代表取締役に就任する。

Akihiro Mashimo

Bamboo fence craftsman

Akihiro Mashimo was born in 1977 in Yokohama. He moved to Nagaokakyo City in Kyoto at the age of five, where he grew up around bamboo. He learned bamboo craftwork at the Traditional Arts School of Kyoto and then entered Nagaokameichiku Co., Ltd. in 1998 after his graduation. Afterwards, he studied under his teacher Ichiro Mishima (a recipient of the Kyoto Prefecture Traditional Industry Excellent Craftsman Award) and made bamboo fences. His major works are found at the Katsura Imperial Villa, Kyoto State Guest House, and Heian Jingu Shrine. He was recognized as a Certied Kyoto Traditional Products Craftsman by the governor of Kyoto Prefecture in March 2015.

経歴

2013年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2014年 竹工芸公募展in京都2014   京都市産業技術研究所長賞

2015年 竹工芸公募展in京都2015 佳賞

2015年 京都府知事より「京もの認定工芸士」に認定される。

2016年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2016年 米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園のJapanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017    米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2018年 米国ミズーリ州セントルイスのミズーリ植物園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。(3日間で2万人が来場する米国でも有数のフェス)

2018年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる

2019年 米国フロリダ州モリカミ庭園で、竹垣を製作する。また、講演やワークショップ、竹垣製作実演をする。

2019年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2019年 竹とSDGsの関係を世の中に発信するために「竹のQRコード」の販売を開始する。

2019年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

20204月 NHK WORLD-JAPANで国外向けに紹介される。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2029134/

(NHK WORLD-JAPAN Core Kyoto  On Demand)

2020年 全国一斉点灯の竹あかり「みんなの想火」の京都の立ち上げメンバーとして放置竹林の竹を使った竹あかりの製作を始める。

2020年 学生と地元の企業とコラボし、モダンなデザインの竹垣を手がける。

2020年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2020年 アドベンチャーワールドのSDGsの活動に共感し、パンダの食べ残しの竹を使った製品の販売を開始する。

20211月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

https://www.nhk.or.jp/kyoto-blog/kyocolle/442826.html

2021年3月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

2021年4月 京都新聞でコラムの連載がスタートされる。

2021年7月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

2021年9月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

      UNIQLOとのコラボ企画で工芸を学ぶ学生と商品を制作する。

2021年11月 長岡銘竹株式会社の代表取締役に就任

2021年11月 京都府亀岡市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2021年12月 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2022年5月 MBS毎日放送「京都知新」で特集で活動を紹介される。

2022年8月 京都駅ビルで竹あかりイベントを開催。

2022年12月 竹工芸の展示品評会において4つの賞を受賞!

2023年1月 朝日放送「ほな行こCar!」にて活動を紹介される。

2023年3月 MBS毎日放送「Catch!」にて活動を紹介される。

2023年12月 竹工芸の展示品評会において2年連続で4賞を受賞!

2024年6月 米国フロリダ州モリカミ庭園で、竹あかりのエキシビジョンをする。