京都新聞コラムVol.13『竹工芸界のオオタニさん』2023.9.19 真下彰宏

 

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

今回は、工芸を後世に伝えるには・・・そんな視点で書いております。
和服とはいうものの…皆さん年に何回くらい着てらっしゃいますか?

ぜひご一読ください。

『竹工芸界のオオタニさん』

普段、私は竹垣を作る仕事をしています。竹を切り、きれいに洗って、竹を割り、細工をしてお客様の好みの竹垣へと仕上げています。

全ての竹垣がオーダーメイドであり、素材の選定から、一つ一つの工程まで職人による手作業であり、それが故に

我々の作るものは「工芸品」と呼ばれます。

このような工芸品を初めとする伝統文化について、ここ数年は小学校から大学までの学校の授業で学ぶ機会があるようです。私が学生の時代には無かった取り組みですね。我々職人が講師として学校へ出向き、生徒のみなさんにお話する機会も年々増えてきました。

工芸品の中には、工芸品と呼ばれる以前は実は日用品だったものが多くあります。日用品だったものが次第に出番を失い、工芸品へと呼び名を変えているのです。着物もその一例です。

「着物と言う我々独自の服があるのに、みんな洋服を着るのはどうしてだろう?それは、小さい時に和服の着方を教えてないからだ。」と西陣織の職人さんが嘆いてました。着物の着方を習う機会が小さい時の生活習慣の中から消えてしまってるので、大人になってからも着物を着る機会が無いのは必然なような気がしますね。

それとまったく同じように竹は世界中から注目を浴びる素材であり、日本を代表する植物であり工芸ですが、日本の中では出番が減ってきています。今後竹工芸が無くなってしまわないように、竹製品の事も小さい時からもっと多くの事を知って貰いたいと私は常々思っています。

学校では給食の時に竹のお箸やスプーンを使い、文房具や机・イスも竹製にして、小さいうちから竹にもっと触れて貰いたいんです。壊れたら直して使ったり、新しく作ったりすることも大切な経験だと思います。

こんなことを日頃から考えてましたので、こうして学生さんにお話させていただき、興味を持って頂けるのはとても嬉しい事です。授業を通して竹工芸に興味を持った学生さんの中から、いずれメジャーで活躍する大谷さんのように世界中を駆け回れるような竹職人が出てきてくれたら嬉しいなと思っています。職人の数は年々減少していますので、そんな憧れの職業になることが現代の職人に求められているのかもしれませんね。

(京都新聞洛西版2023.9.19)

【真下彰宏プロフィール】

竹工芸 竹垣職人
京もの認定工芸士

1977年横浜生まれ。5歳の頃に京都府長岡京市へ移り住み、「竹」と身近に育つ。
京都伝統工芸専門校で竹工芸を学び、卒業後1998年に長岡銘竹株式会社に入社。入社以来、師である三島一郎(京の名工)に師事し、竹垣製作に従事する。主な仕事に、桂離宮、京都迎賓館、平安神宮、松花堂庭園などがある。
2015年3月、京都府知事より、「京もの認定工芸士」に認定される。
2016年から、アメリカやイタリアで竹垣の製作実演やワークショップをし、海外での竹工芸の普及を目指している。
2020年コロナ禍では、新しいデザインの竹垣の制作、竹林整備活動や竹あかり、SDGsで繋がるアドベンチャーワールドとの商品開発、メディア出演など、竹の魅力を国内に伝える活動に力を注いでいる。
2021年に代表取締役に就任する。

Akihiro Mashimo

Bamboo fence craftsman

Akihiro Mashimo was born in 1977 in Yokohama. He moved to Nagaokakyo City in Kyoto at the age of five, where he grew up around bamboo. He learned bamboo craftwork at the Traditional Arts School of Kyoto and then entered Nagaokameichiku Co., Ltd. in 1998 after his graduation. Afterwards, he studied under his teacher Ichiro Mishima (a recipient of the Kyoto Prefecture Traditional Industry Excellent Craftsman Award) and made bamboo fences. His major works are found at the Katsura Imperial Villa, Kyoto State Guest House, and Heian Jingu Shrine. He was recognized as a Certied Kyoto Traditional Products Craftsman by the governor of Kyoto Prefecture in March 2015.

経歴

2013年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2014年 竹工芸公募展in京都2014   京都市産業技術研究所長賞

2015年 竹工芸公募展in京都2015 佳賞

2015年 京都府知事より「京もの認定工芸士」に認定される。

2016年 バンブーデザインコンペ 奨励賞

2016年 米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園のJapanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017    米国イリノイ州ロックフォードのアンダーソン日本庭園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。

2017年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2018年 米国ミズーリ州セントルイスのミズーリ植物園で、竹垣を製作する。Japanese Festivalに参加し、竹垣製作実演をする。(3日間で2万人が来場する米国でも有数のフェス)

2018年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる

2019年 米国フロリダ州モリカミ庭園で、竹垣を製作する。また、講演やワークショップ、竹垣製作実演をする。

2019年 イタリア・ローマでギャラリー「DOOZO」にて竹垣製作実演・講演・ワークショップをする。

2019年 竹とSDGsの関係を世の中に発信するために「竹のQRコード」の販売を開始する。

2019年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

20204月 NHK WORLD-JAPANで国外向けに紹介される。

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/2029134/

(NHK WORLD-JAPAN Core Kyoto  On Demand)

2020年 全国一斉点灯の竹あかり「みんなの想火」の京都の立ち上げメンバーとして放置竹林の竹を使った竹あかりの製作を始める。

2020年 学生と地元の企業とコラボし、モダンなデザインの竹垣を手がける。

2020年 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2020年 アドベンチャーワールドのSDGsの活動に共感し、パンダの食べ残しの竹を使った製品の販売を開始する。

20211月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

https://www.nhk.or.jp/kyoto-blog/kyocolle/442826.html

2021年3月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

2021年4月 京都新聞でコラムの連載がスタートされる。

2021年7月 NHK京都放送局にて活動を紹介される。

2021年9月 KBS京都放送局にて活動を紹介される。

      UNIQLOとのコラボ企画で工芸を学ぶ学生と商品を制作する。

2021年11月 長岡銘竹株式会社の代表取締役に就任

2021年11月京都府亀岡市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2021年12月 地元、京都府長岡京市のイルミネーションイベントで竹のオブジェ製作に携わる。

2022年5月 MBS毎日放送「京都知新」で特集で活動を紹介される。

2022年8月 京都駅ビルで竹あかりイベントを開催。

2022年12月 竹工芸の展示品評会において4つの賞を受賞!

2023年1月 朝日放送「ほな行こCar!」にて活動を紹介される。

2023年3月 MBS毎日放送「Catch!」にて活動を紹介される。