京都新聞コラムVol.9『竹垣の季節』2022.12.6 真下彰宏

 

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

ぜひご一読ください。

『竹垣の季節』

あっという間に12月です。一年が本当に早く感じます。

我々竹屋の年末は竹垣の工事が多くなります。それは、お庭をきれいにして、古くなった竹製品を一新し気持ちよく新年を迎える準備をしたいという日本人のココロにあるのかもしれません。竹は「松竹梅」と表すように縁起物の象徴です。松は長寿、竹は繁栄、梅は生命力を表していると言われています。どれもお庭に植えたくなりますが、竹は繁殖力があり、植えると年々増えて大変なことになるので竹垣を設置するのがいいですね!竹垣の他にも、袖垣や筧(かけひ)や枝折戸(しおりど)、井戸蓋などでお庭を装飾することが多く、これらを毎年交換していくのです。竹垣の他にもお正月には青竹で作ったとっくりやお猪口で新年を祝うのもオツですね!玄関や店先に門松を置くところもたくさんあります。この青竹を目掛けて神様が降りて来てくれると言われています。「一年の計は元旦にあり」といいます。元旦に向けて整えていくのが大事ですね。

そもそも、竹はなぜこの時期に重宝されるのかというと…竹には竹を切る時期があるのをご存知でしょうか?竹の切り旬は、竹の水揚げが止まる秋口から冬までの期間です。竹に含まれる水分やデンプンの量が違い、その時期に切った竹は材質がしまっていて細工がし易く、また虫がつきにくいとされております。良い竹は一年のうちの約2~3ヶ月くらいしか切ること出来ません。このように竹の切り旬があることからお正月の関連のものや竹垣施工もこの時期が最適と言えます。これらは日本人の経験や知恵が活かされている一例の一つでしょう

竹垣の魅力は、お庭や建物を引き立たせることにあります。背景に見えてしまう洗濯物や物置や室外機を隠すことで、この先に何があるんだろうと興味をそそります。無機質なブロック塀を隠せば、違和感なく和の空間になります。また竹垣を背景にすると手前の木々に遠近感が生まれてくることでお庭を広く見せることが出来ます。人や車の動きが気になるところを隠せば凛とした空気に包まれます

竹垣で居心地良い空間を作れば、青竹に舞い降りた神が住み着いてくれるかもしれませんね。

(京都新聞洛西版2022.12.6)