京都新聞コラムVol.6『竹の旬』2022.4.26 真下彰宏

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

ぜひご一読ください。

『竹の旬』

竹かんむりに「旬」と書いて「筍」。筍は文字通り「旬」の食材です。今まさに筍の季節ですね!竹に関わる仕事をしている中で、筍掘りをお手伝いさせていただいたことがあります。京都産の筍は美味いです!乙訓地域からも美味しい筍がたくさん出荷されています。乙訓地域では「白子たけのこ」と呼ばれ、柔らかくてえぐみが少なく歯ざわりの良いのが特徴です。筍って、次から次に生えてくる印象ではありますが、実は美味しい筍の畑は京都式軟化栽培法と言う伝統的な方法で年中管理されています。この栽培法の代表的な特徴は、親竹の先を折って短くしていること、畑にわらを敷くこと、その上に「土入れ」という作業を行うことなどです。さらに肥料をやったり、5~6年たった古竹を切り取ったり、親竹となる次の若い竹を育てたり、間引きをしたり…。よく陽が当たるように竹と竹の間隔も広くします。これらの作業が全て手作業で行われています。

粘土質の「土」も柔らかい筍を育てるのに適していますが、乙訓地域では粘土質の土が多いようです。乙訓地域の「水」はビールやウイスキーが作られているように、味わいは柔らかく、ほんのり甘い水と言われています。乙訓産の筍が美味しい理由が見えてきましたね!農家さんの惜しみない努力で管理された「畑」と粘土質の「土」とおとくにの「水」で育った筍は、良質で柔らかくてえぐみの少ないほんのり甘い筍を産み出しています。
しかし、筍は空気に触れ日光にあたると硬くなる性質があります。このため、京都の良質な竹の子は地表面に出てくるまでに掘り出しています!こんなことが可能なんでしょうか?はい可能です!「土入れ」している理由がここにもあります。土の表面を丁寧に見ていると土がひび割れてるところがあります。筍が土の中で成長している目印です!そこを掘るとあら不思議、筍の頭が顔を出します。根っこは地中深くにありますが「ほり」と呼ばれる京都独特の長い農機具を使って地中の根っこを探し当て掘り出されるのです。うまく掘るには経験が必要です。まさに職人技です!
ところで…筍?竹の子?たけのこ?タケノコ?どの字が正しいんでしょう?やっぱり旬を頂くのですから「筍」がぴったりなような気がしますね。乙訓産の筍で作る筍ご飯、筑前煮、筍の天ぷら、今が旬の筍をぜひお楽しみください。

(京都新聞洛西版2022.4.26)