京都新聞コラムVol.5『伝統と革新』2022.2.15 真下彰宏

弊社代表の真下彰宏が京都新聞洛西版のコラムを執筆しております。

ぜひご一読ください。

『伝統と革新』

年末年始にバンビオ公園広場で開催されたイルミネーションはご覧頂けましたでしょうか?竹の特性を活かし、竹だからこそ表現できるオブジェを製作させていただきましたが、多方面から良い評価を頂きまして皆様に竹の魅力をお伝え出来ましたことを大変嬉しく思っています。製作者として竹の可能性をさらに感じる事が出来ました。

乙訓は竹の名産地で筍も竹材もこの地域から生まれてるものが銘品として扱われています。乙訓地域では「当たり前」にある竹林や筍・竹製品ですが、世界の方々から見ると日本を連想する代表的なものが「竹」で、非常に誇り高きものなのです。乙訓の方々にはこんな素晴らしい環境が周りにあるのですから、竹をより知る事が重要で、もっと身近に感じてもらいたいと思ってます。そんな思いを込めて作ったイルミネーションですので少しでも私の熱意が伝わっていると嬉しいです。

さて、コロナウィルスが猛威を奮っている中、我々工芸業界は厳しい時を迎えています。伝統を守る事もままならないような状況です。しかしながら「今」だからこそ出来ることもあります。そもそも工芸とは、革新の連続でした。伝統を引き継ぐことも大事ですが、またその一方ではその時代にあわせた革新を遂げながら今日まで受け継がれています。茶の湯が発展した時に茶庭も発展し、それをきっかけに竹垣も多く作られるようになりました。竹垣がこのようにしてスタンダードになったように、今までの革新のタイミングは時代に変化が起こった時でした。世界中がコロナウィルスによって変化してる今がまさにその時なのかもしれません。私は「後退や現状維持」が苦手です。生きている限りは「前進」しか無いと思ってます。時代の行く末は誰にもわかりませんが、コロナウイルスが蔓延する中でこれからは人々の生き方が変わっていくような気もします。スマホをはじめとするインターネット機器の凄まじい発展の一方で我々のようなアナログな「ものづくり」にもまた目が向けられています。それらが融合するような「ものづくり」もまた面白いでしょう。そんなチャレンジ精神がまだ見ぬ未来の自分の姿を決めていくんだろうと考えています。
昔も今も職人という生き物は挑戦をし続けています。

京都新聞洛西版2022.02.15